メインシナリオ/各回のあらすじ

 

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◆第一回

 突如世界を襲った大洪水から奇跡的に逃れることができたコーンウォリス公国の港町一帯。

 水の神殿を中心に障壁を張ることで、その地は海底にひっそりと息づく。

 その障壁は水の魔術師が命がけで張り巡らせているが、中心になっているのはルース・ツィーグラーである。

 彼女は水没したウォテュラ王国の姫で、とても強い水の魔法の使い手だ。

 また、ルースにはベルティルデ・バイエルという侍女がおり、彼女も優秀な水の魔術師であるため、障壁の維持に協力している。

 この地方の領主のアシル・メイユール伯爵は、事態打開のために『箱船計画』を立ち上げる。調査船を海上へ送り、移住地を探し出す計画だ。

 エーヴァカーリナ池の畔に造船所をつくり、フレン・ソリアーノ男爵に指揮は任された。

 箱船計画にはもう一つ、「暴走した水の魔力の吹き溜まりを見つけ、調整して静める」という目的がある。その役目を果たすルースも箱船に乗るため、彼女は頻繁に造船所を訪ねていた。しかし、注文が多い上に高圧的な言い方をするため、造船所の作業員達との仲は冷え切っていた。

 大洪水から二年ほどが過ぎると、海底の町マテオ・テーペを食糧危機が襲った。

 それを何とかしようと、港町のまとめ役だったリルダ・サラインを中心に有志が知恵を絞り、土壌の改革やマテオ・テーペの環境に適した野菜などが選ばれて育てられるようになった。

 しかし問題はそれだけではない。

 マテオ・テーペには大きく分けて貴族と平民が住んでいるが、両者の関係は良好とは言えないのだ。

 明日の食べ物にも困るような暮らしの平民もいる中、貴族は贅沢な生活を送っているという。

 そしてある日、領主の館で働いていたことのある、今は水没したウォテュラ王国の元騎士アンセル・アリンガムが領主の館にたくさんの食料が保管されていることを囁いた。

 それを聞いた平民達の貴族への不信と不満は膨れ上がっていった。

 そんな中、ある日、多くの人々が体調不良を訴えだした。

 

◆第二回

 マテオ・テーペにある少ない開業医だけでは対処しきれず、広場に野外病院が設置され、同時にこの症状の原因調査が行われた。

 一方、領主の館には、不満を募らせた港町の住人を中心とした集団が押し寄せていた。

 館から出てきた伯爵は、高い税金のほとんどが箱船計画に使われていることを説明する。

 他の主な用途として、障壁や人工太陽に使われる魔法具のメンテナンス費用があげられた。しかし、現在のマテオ・テーペは箱船計画を中心に運営されているため、こちらには手が行き届いていないという。

 また、問題になっている食糧のことも、箱船計画の一環であることを説明。ただし、徴収量については見直すことを約束した。

 造船所や農家で倒れる人が出たため健康な人達の負担が増える中、森の獣に畑を荒らされる事件が起こった。そのうち人への被害が出たら厄介だ、と対策が練られる。

 悪いことが続くマテオ・テーペに人々の雰囲気が暗くなる中、少しの希望ある結果が出た。

 多くの体調不良者を出した原因の一つに目星がついたのだ。

 マテオ・テーペは障壁で閉ざされた世界であるため空気の循環が悪いことが原因の一つではないかと、調査の結果導き出された。

 風属性の魔術師を集めて風を送るために、マテオ・テーペの頂へ登ることが決まった。

 ようやく落ち着きを取り戻していくかに思えた矢先、水の神殿で魔術師が何者かに殺害された。

 

◆第三回

 騎士団が魔術師殺害の捜査を始めるが、いっこうに進展がない。港町の一部の人は、騎士が犯人なのではと噂している。そして、町の治安を騎士団だけに任せておけないと危機感を持ったアンセルの発案で、自警団が結成された。

 障壁内に陰鬱な空気が漂う中、風の魔術師達が協力者達と共にマテオ・テーペの頂に登り、風を送って空気を循環させた。約二年ぶりの風と協力者がつくり出した虹が、住人達の心を癒した。

 一方、領主の館では障壁維持に関する問題や魔術師殺害の件などで伯爵は頭を悩ませていたが、さらに館に避難してきているある貴族がパーティを開きたいと要求してきて悩みを増やされていた。しかし彼は、これを自分のサポートとして採用しようと思っている平民の試しに使おうと画策した。

 造船所を訪れているルースは、相変わらず作業員達と冷えた関係にあった。しかし理解を示す者もいて、ルースは今後のためにもと助言を受ける。

 その助言に、ベルティルデは前々から憂いていた、身分差による弊害の問題を解決するきっかけになるかもしれないと考えた。彼女は今度領主の館で行われるお茶会に、ルースの招待客として平民を呼ぼうと提案。

 貴族と平民が混じるという初のお茶会が開かれることになった。

 こういった華やいだ催しの話題もあったが、農家では森からやって来る獣に畑を荒らされるという深刻な事件に対処するべく、有志が集まって退治行動に出ていた。その際、箱船計画で必要な食糧のことが話題に上る。マテオ・テーペの最も重要な問題の一つが食糧問題であるが、箱船計画では最大約160人分の保存食が必要になることがリルダにより知らされた。

 もっと収穫を増やす策として、放置畑の再生や水耕栽培などが提案され試されることになる。

 

◆第四回

 荒れてしまった畑の再生に手を貸してくれる人は、リルダが思っていた以上に多かった。

 畑仕事初心者も多いため、経験者が率先して手ほどきにあたっていく。

 水耕栽培のほうも順調に作業が進んでいる。

 また、結成された自警団はさっそく巡回を始め、手柄を挙げている。自警団員達は、港町の人が言う騎士団への不信感の根底には、追い詰められていく現状への不安があることを知った。

 しかし、いくつかの犯罪を防止したものの、魔術師殺害の犯人に関する手がかりは見つからなかった。

 領主の館で催されるお茶会の準備が進む中、伯爵は先日多くの体調不良者が出た際に野外病院を開いた医者から、今後の人々の健康維持についての提案を受ける。疾病予防プランを立てたいという考えには、伯爵も賛成である。

 領主の館のお茶会は、一部で温度差があるものの特に大きな諍いもなく進む。また、別の一部の参加者には一定の収穫もあった。

 一方、港町でもお茶会が開かれていた。現状やこれからへの不安や不満はともかく、体の具合が良くなってきたことや、人工月打ち上げ成功のことなど久しぶりに明るい話題も多かった。

 

◆第五回

 世界を水没させた大洪水は、ウォテュラ王国の兵器実験が原因だったことが明かされた。実験は事故に備えて水の魔力の吹き溜まりである氷の大地で行われたが、実験失敗により兵器に使われていた火の魔力が暴走し、水の魔力までバランスを崩し氷をすべて溶かしてしまったため、世界が水に覆われたと考えられている。

 実験失敗で当時の生き残りがいないため、現場がどうなっているのかはわからない。

 それを調査し、崩れた水の魔力の均衡を取り戻すためにも箱船の建造は急務であるが、その負担を担っている平民の中の一部の過激な者達により、放火未遂事件が発生。

 その後始末が終わったと思えば、今度は再開発中の畑で岩ゴーレムが突然現れるという事件が発生した。岩ゴーレムは町へ向かっているという情報が入り、警備隊が動き出す。

 一方、ルースの元には脅迫じみた勧誘が続いていた。差出人はアンセルである。

 彼に加担する気のないルースは、その素性を暴こうと行動に出る。その結果、アンセルとは現在生死不明のキンバリー・アルビストンではないかということがわかる。そして彼がアシルをひどく恨んでいるだろうことも。

 

◆第六回

 町を目指していた岩ゴーレムは、警備隊と有志によって無力化された。核となっていた魔法具は魔法研究所で改良され、力仕事を担う岩ゴーレムとして使われることになった。

 そしてこの魔法具の出どころとして、アンセルを慕う自警団のルスタンが疑われた。

 その頃、水の神殿では箱船の出航手段の変更についての話し合いが行われていた。出航時の人々への負担が大きすぎるからだ。一人でも多くの犠牲者を減らすため、出航手段および出航航路の変更を行うことの利点をまとめ、アシルへ提出するつもりでいる。

 出航航路を空中から水路へ変更する案を推したいが、肝心の工事期間と費用が邪魔をしてしまう。

 しかし、それは改良された岩ゴーレムが解決してくれた。

 リルダが持ち込んだ提案は通り、また箱船の乗員席に空きができたので希望者を募ることが伝えられる。

 また、アンセルの正体を突き止めたルースは箱船完成間近の今、彼に箱船を乗っ取られるのではと危惧するが、これについてはアンセルと懇意にしている人物により、アンセルとアシルの間にある誤解が解かれる。このことにより、アンセルが直接アシルに何かを仕掛けることはなくなった。また、水の魔術師の殺害犯人も明らかになった。

 リルダ達が、公表されている箱船の目的について疑問を持ち始めた。

 

◆第七回

 箱船の出航航路が水路へ変更になり、工事が始まった。作業員を励ますために町の女達を中心に料理が振る舞われ、まさに住民総出で取り組まれている。

 その頃、急に出没するようになった痴漢が確保された。尋問の結果、痴漢は現在行方不明中のルスタンの知り合いで、岩ゴーレムの核になっていた魔法具奪還のために『魔法具は女が持っている』という情報を頼りに行為を繰り返していたという。

 一方、箱船の真の目的をかなり正確に推測した者達がいる。

 アシルからは『移住先の探索が主目的』と公表されているが、本当は『暴走した水の魔力の吹き溜まりを見つけ、魔力の調整を行う』ことが主目的である。

 水の神殿でベルティルデは移住先の探索を第一にすることを説かれる。これまで町の人達と交流を重ね好感を持っていたベルティルデは、彼らの言葉に胸を打たれて目的の変更をアシルに掛け合う決意をする。

 ところがその翌日、神殿に潜んでいたルスタンにルースが襲われるという事件が発生する。

 幸いルースに怪我はなかったが、代わりに彼女をかばって刃を受けた者が出てしまった。

 ルスタンはアシルの政策に不満を持っていたこともあり、アシルへの誤解が解けたアンセルが箱船乗っ取り計画を破棄したことに反発した故の犯行だった。

 責任を感じたベルティルデは、自分が本当の旧王国の姫であり水の魔力の継承者であることを打ち明けた。ルースと名前も入れ替えてここに来たという。

 継承者は各属性ごとにおり、それぞれが非常に強い魔力を持っている。

 また、各属性にはそれぞれ魔力が集まる吹き溜まりがあり、継承者は溜まった魔力が暴走する前に調整する役割があった。そしてその調整は、継承者が命を賭して行う。

 

◆第八回

 箱船出航の準備が整い、盛大な送別会が行われることになった。

 送別会では料理の他、バザーも催され、たいへんな賑わいになる。

 箱船乗船を最後まで迷っていたアシルの娘のジスレーヌも、畑仕事で世話になった人に諭され乗船を決意した。

 別れを惜しみつつ、箱船は出航する。

 水の神殿を中心に、残される人々の生気を代償にしてマテオ・テーペの障壁がコントロールされる。一時的に薄くなった障壁から箱船が出て行く頃には、見送りの人々はすべて地に伏していた。

 しばらくして一人、二人と意識を取り戻し現状の確認が始まる。

 住民のための健康管理と維持に努めた医師のおかげもあり、死者はかなり少ない。

 小さくなったマテオ・テーペ領内では、箱船が帰還する予定の約一年後を目指して新たな活動が始まった。

 また、箱船の目的は『移住地の探索』に変更されている。 

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