イベントシナリオ第8回オープニング

 

『最期の晩餐Burst!!』

 

 カヤナ・ケイリーは思い出の詰まった丸太小屋の中で、ぼーっと考え事をしていた。この場所は、マテオ・テーペの憩いの場だった。人々の笑いと、ドキドキがいっぱい詰まった、大切な思い出の場所だ。

 完成しようとしている箱船に乗って探索に出てしまう人もいる。3年という、決して短くない時間、苦楽を共にした仲間たちと集まれるのも、もう最後かもしれない。

「もうちょっと」

 いっぱい、みんなとお話してみたかったな……。いや、その言葉は、あまりにも不適切だった。いつかは来ると分かっていたことだ。

「はあ」

 ……いや、こんな気持ちになっている場合ではない。むしろ私だけでも、こんなときだからこそ、楽しく、みんなを笑顔にしなくちゃ。

 ふと、彼女はこの場所ができた時のことを思い出した。

 あのときは、確か「ログハウスの落成記念パーティーに、みんなで鍋を囲む」だった。……その結果を思い出して、少しだけ苦々しくなる。あんな「毒物的」な物質も、今となってはいい思い出だ。

「……また、集まってくれるかな。ここに」

 彼女は、指先をしなやかに動かし、存在しない鍵盤を弾くようにリズムを刻んだ。

 そして立ち上がり、「よし」とつぶやく。

 最初に焚き付けるのは、もちろんリック・ソリアーノ。彼が広告塔になれば、多くの住民が耳を傾けてくれるに違いない。

「まるで、最期の晩餐みたい」

 彼女は寂しく呟いて笑ったが、それからすぐに、ぶるぶると強く頭を振った。

「ダメっ! そんなんじゃないっ! 『最大最強の晩餐』にするのっ! そう……『最期の晩餐』バーストッ!!」

 船の出航まで、残された時間は長くない。

 ここでの思い出を、マテオ・テーペという地に残されている、希望に溢れた仲間との思い出を、もっと積み重ねたい。

 カヤナは強く心から思って、小屋を後にした。

 

「というわけでっ!」

 造船所の片隅で、カヤナはリックとフレン・ソリアーノに頭を下げていた。

「みんなで集まって、最後の思い出を作りたいんです!」

「ふむ」

 フレンはひときわ改まって、手をあごの下にやる。

「……そうだな」

 彼のことばのどこかにも、妙な重たさがある……ように感じられたのもつかの間。

「これで、気兼ねなく酒が飲めるな」

 フレンがニヤリと笑う。

「さすがに、自重していたんだがな。ようやく、みんなに振舞える……俺も飲める」

「ねえ、あのログハウスでパーティーってことはさ!」

 リックが、フレンに負けじと口をはさむ。

「なに?」

「やっぱり、鍋なのかな?」

「……あー……鍋に、する?」

 カヤナは自分の想像した何かがこの少年の頭にもあることを理解して、苦々しい笑いを浮かべた。

 

 

 イベントシナリオ第8回参加案内

 

■スケジュール

2017/10/05 オープニング公開

2017/10/06 参加チケット販売開始(アクション受付け開始)

2017/10/12 参加チケット販売終了

2017/10/13 アクション締切

リアクション公開は11月上旬を予定しております。

 

■選択肢

・カヤナの手料理フルコース!

 カヤナ・ケイリーが作る手料理のコースを食べることができます。

 料理は「ナッツと青菜のさっぱり炒め」「卵と冬瓜のあったかコンソメスープ」「ちょっと大人なガーリックトースト」「魚の塩釜焼」「クランベリーソルベ」の5品目。食材を持ち込むアクションがあれば、品数が増えるかもしれません。

 調理アシスタントも募集中。

 

・ワイルドにバーベキュー!

 小屋の外で、バーベキューを楽しみましょう。

 フレン・ソリアーノが火起こし、焼肉奉行をやってくれます。食材の持ち寄りは大歓迎ですし、「我こそは」という人はトングを奪って焼き始めてもOK。

 フレンの隠し酒が飲めるかも……(未成年のPCはもちろん飲酒禁止ですよ)。

 

・安全第一! 鍋パーティー!

『あの』鍋が帰ってきます。

 リック・ソリアーノが監視役(?)となって、みんなで鍋を囲みましょう。

 ベースの出汁はカヤナが作ってくれた鶏ガラ塩スープです。

 食材は基本的に持ち寄りです。液体、固体、なんでもOKです。

(マテオ・テーペに絶対存在しないと思われるもの以外は)持ってきたものが『すべて』投入されますので、分量にもお気を付けを。

 毒物はお控えください。死人だけは出さないように、お願いしますね。

 

■接触可能NPC(下記に名前の無いNPCはリアクションに登場いたしません)

・全員接触可能

ジスレーヌ・メイユール(リックに呼ばれたので参加。どこに参加するかはまだ決めていないようです)

ハビ・サンブラノ(こちらも、なんとなくふらっと現れたようです)

 

・『カヤナの手料理フルコース!』選択で接触可能

カヤナ・ケイリー(基本的には厨房にいます)

 

・『ワイルドにバーベキュー!』選択で接触可能

フレン・ソリアーノ(肉を焼いたり火を起こしたり、酒を飲んだりしています)

バート・カスタル(バーベキューに参加していますが、警備を中心に行っています)

 

・『安全第一! 鍋パーティー!』選択で接触可能

リック・ソリアーノ(状況を見て鍋を食べたり食べなかったりします)

ベルティルデ・バイエル(安全な鍋なら食べたいと思っていますが……?)

 

・特殊の条件で接触可能

レイザ・インダー(誰かが呼べば、どこからともなく現れるかも……)

 

■担当ライターより

 こんにちは、ライターの東谷です。

 いよいよ、イベントシナリオ最終回となってしまいました。

 テーブルを囲み、おいしい料理に、ただひたすら舌鼓を打つもよし。

 思い出や、これからのことなどを語り合うもよし。

 ……あの闇鍋をまた再現するもよし……多分。

 それから、NPCのレイザ・インダー。

 本来彼は登場不可の予定だったのですが、あんな恥辱(ミスコン)を受けたまま終わるのはあまりに不憫でしたので、

 誘ってくれる人がいたら、お話をしたり、一緒にご飯を食べたりできるかも、ということにさせていただきました。

 それでは、皆様のアクション、お待ちいたしております!