メインシナリオ/各回のあらすじ

 

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◆第1回

港町の一角の犯罪者を収容している倉庫が、突如発生した火災により全焼してしまった。

焼け落ちた倉庫からは、犯罪者の遺体は一切見つからず、何者かの手引きで犯罪者たちは全て逃亡したものと思われた。

それから、港町で火の魔法による連続放火事件が起き始める。

騎士団の警備隊員や民間人が捜索に当たるが、手掛かりは見つからなかった。

 

そんな折、領主の館近くで貴族の少女らが何ものかに連れ去られる女性誘拐事件が発生。

実行犯に火魔法の高能力者と風魔法の使い手が含まれているようだった。

騎士団は、領主の館付近にいた風魔法の高能力者を容疑者として捕らえ、魔法の使用できない部屋に収容した。

 

魔法学校寮生の子供、プルク・ロアシーノと友人達は、仲間を募り、誰にも知られていない洞窟の探索を始めた。

途中、道が3つに分かれており、一番大きな道を進んだ子供達は水の神殿にたどり着き、手に入れた手書きの本を戦利品として持ち帰ったのだった。

 

 

◆第2回

洞窟探索に繰り出した子供たち。

今回は、石で塞がれていない方の小さな道を進んだ。

小さくて細い道の先は、行き止まりだった。子ども達は土の中から、こぶし大程度の水晶のような石を掘りだして、今回の戦利品として持ち帰った。

 

攫われた少女の衣服が障壁内の様々な場所で発見された。だが、犯行声明も出ておらず、犯行目的は不明なままだった。

 

港町では、放火が続いていた。そして先月とは別の倉庫が燃やされ犯罪者たちが逃がされたが、警備に協力していた少女と騎士団員により、半分程度の犯罪者は再び捕らえられ別の場所に収容された。

 

逃走した犯罪者と、攫われた女性たちの捜索が行われている中、重犯罪者と、魔力の高い犯罪者が収容されている館の大掃除が行われた。

一つの部屋に集められた犯罪者、容疑者たちは警備が手薄な隙に、脱走を呼びかけながら騎士団員を振り切り、食糧を奪取して逃亡。更に女性の使用人――ミーザ・ルマンダを人質として連れ去る。

首謀者のトルテは重傷を負い、騎士団員にも死傷者がでた。

護衛隊、警備隊による緊急対策本部が設置される。

 

魔法学校では火魔法の高能力者による、襲撃事件が発生。

逃げ遅れた子どもは見回りに訪れていた者に救出され、レイザ・インダーと魔法学校生、騎士団員の協力で炎は消えた。その際、レイザ達は炎を放ったと思われる女性達の姿を見た。

 

 

◆第3回

騎士団員の協力により、館から脱獄したサーナ・シフレアンはアーリー・オサードのところにたどり着いた。

館で犯罪者として捕えられていたサーナは、初代神殿長の曾孫であった。彼女は洪水前まで水の神殿で暮らしていた。

港町で捕えられていた犯罪者たちを脱走させた火魔法の高能力者――アーリーとは友人であった。

 

洞窟の探索をしていた子供達は、レイザに前回の探索で手に入れた水晶のような石を見てもらった。

それは天然の貴重な魔法鉱石だった。魔法鉱石は個人が所有していていいものではなく素手で触るだけでも危険なものだと、鉱石を用いて作ったアクセサリーの提供を約束し、レイザは子ども達から鉱石を預かった。

 

一方、今回も洞窟に出かけたプルク達は、最後の石で塞がれた道を進んだ。

道の先には休憩所のような場所があり、文字が掘られた石板があった。更にその先に進むと、人骨が散らばっていた。

怖くなったプルク達は急いで帰り、レイザか誰かに相談しようかと話し合うのだった。

 

港町から脱走した犯罪者と、館から脱獄した犯罪者が合流を果たした。

アーリーは滅びを説くが、館から脱獄した犯罪者はここに村を築いて、自分達だけで生きることを望んだ。

 

緊急対策本部でメンバーと方針が決められ、犯罪者のもとに順番に交渉に向った。

貴族の青年と、人質とされた使用人の人質交換に犯罪者たちは応じた。

感情を露にしながら交渉をする犯罪者たち。そこに、アーリーたちが人質の貴族の少女を連れ、姿を現す。町民会議を開いてほしいと、サーナが町のまとめ役であるリルダ・サラインに言い、会議が開かれることになる。

 

サーナが館に捕えられていたことは、兄のような存在である警備隊隊長バート・カスタルを始め、誰にも知らされていなかった。

緊急対策本部にて、護衛隊の代表はサーナをいかなる手段を用いてでも、止めるように指示を出す。

 

 

◆第4回

レイザを伴い、再び洞窟探索に訪れた子ども達。

体格的に入れないレイザを入口で待たせて、石で塞がれていた道の奥へと進む。石板に記されていた文字を写し取り、人骨が散らばっているところに向かった。

その先は、行き止まりだった。大昔に流れ込んだ溶岩で塞がってしまったようだった。

異臭が漂ってきて、子ども達は急いでレイザが待つ入口へと戻る。

石板の文字はレイザにも解読できなかった。文字が書かれたメモと、最初の探索で手に入れた本がレイザに預けられる。

 

犯罪者に捕えられていた貴族の少女を連れ、犯罪者に協力していた者が騎士団に投降をした。

町民会議の前に、その者を含めた話し合いの場が設けられる。

護衛隊代表の命を受けた者と、レイザ、バートが同席する中、それぞれが知っていることが語られる。

 

この地の近くには、火の魔力のたまり場がある。溜まった火の魔力の暴走を抑えるためには、20年に一度、資格を持った女性がその身を犠牲に魔力の調整をしなければならない。

それをせずに膨大な魔力を抑えるために、水の神殿と神殿の魔法具は作られたのだという。

洪水の原因は、火の魔力の暴走をきっかけとした水の魔力の決壊だと思われる。

洪水が起きた時、神殿の魔法具を障壁を張るために用いたことで、世界の状態は悪化した。自分達が助かるために、世界を犠牲にしたということであり、それは今も続いている。

障壁の維持だけに水の神殿の魔法具を用いていたら、近いうちにたまり場の火の魔力が爆発するだろう。

ウォテュラ王国が火の一族の力を奪い、暴走させた。その暴走により水の魔力が決壊したと、アーリーは自分の見解を語る。

水は全てを飲み込み、海の上に大地などないと。

しかし、大地は未だ崩壊していない。地の継承者は生きている可能性があると意見が出る。

地の継承者の一族は、ウォテュラ王国の対立国であるアルディナ帝国の王家と思われた。

 

かつて、この地に強い炎の魔力を操る一族が暮らしていた。

一族の中には、常に体に龍のような蛇のような痣を持つ女性――資格を持つ女性が1人存在していた。

その女性が二十歳になる頃に、一族が護る山に異変が起き、その異変を鎮めるために、痣を持つ女性はその体を山に捧げていた。

100年ほど前、痣を持っていた女性は、ウォテュラ王国から訪れた者に、王国へと連れ去られてしまった。

異変を鎮める手段を失った一族は、命を賭したが火山は大噴火し、この辺り一帯は滅んでしまった。

唯一生き延びたのは、アーリーの曽祖父だけであり、連れ去られた痣を持つ女性の子孫が、領主の館の管理人であるインダー家だった。

 

レイザは資格を持つもの――継承者は生きているとアーリーに告げる。

自分を案ずる者とレイザに諭さたアーリーは、継承者が本物なら協力すると約束をする。

 

部屋から出た途端、毒矢にサーナが慕う者が倒れる。

気が動転したサーナは会議に出ることが出来ず、犯罪者の主張は町民に受け入れられることはなく、彼らは再び拘束された。

 

 

◆第5回

神殿から子供達が持ち帰った本によると、子供たちが見つけた洞窟は、水の神殿と火の魔力のたまり場である山を繋ぐものであったらしい。

人が通る為に作られたものではなく、水の魔法エネルギーの通り道として存在していた。

 

火山性の地震が増えていた。

騎士団の警備隊により、火山対策に当たるための準団員、協力者及び魔法鉱石の探索員の募集が行われた。

協力を申し出た者に、簡単な作戦が説明される。火山を鎮めるために、マグマの中に行くとのことだ。

火山に向かう道の整備と、魔法鉱石の探索が進められる。

 

また、火山深部に同行する者、覚悟があるものたちにレイザから、継承者の証(痣)を持つものが自分であることが告げられた。

火山対策とは、水の神殿の力で皆を守り続けるために、1つの身体――レイザを犠牲にする作成だった。

 

サーナはアシル・メイユール伯爵との面会が許された。

サーナは水の神殿の魔法具は、王国の管理下――自分達ウォテュラ王国の王家の血を引く一族が管理を任されていたこと。

自分一人残して、一族は全て洪水で命を落とした。その後、何も知らない公国の民を長として、アシルが神殿の力を利用していると指摘。

何をしようとしているのか、自分は必要ないのか、何故サーナは犯罪者として存在を隠されたまま監禁され続けなければならなかったのかという、サーナたちの問いに、アシルはサーナを館で保護していたのは、民と彼女の身の安全のためだったと話す。民が二分し、箱船計画が頓挫するようなことは、なんとしても避けなければならないと。

水の継承者の一族――自分と姫は、繋がっている水を通して言葉を送り合うことができる。魔法具には王家の魔力が欠かせないという自分の必要性を語り、そして真実を町の人々には公言しないとの約束のもと、サーナは監視つきで神殿への帰還が許される。

また、アシルは神殿が建てられた経緯については、自分も公国も把握していなかったこと、この地ではなく、水の魔力のたまり場で王国は魔力を利用した実験を行っていたことをその場にいる者に話した。

恐らく世界が沈んだ原因は、水の魔力のたまり場のエネルギーを防衛に利用した結果なのではないかと。

 

メイドとして潜んでいた帝国のスパイ、ミーザ・ルマンダがアーリーに接触。

地の継承者の一族であるミーザは、アーリーを帝国に誘う。

あなたが帝国に来るのなら、あなたの大切な人を助ける。自分はあなたの身代わりになってもいいと告げた。

 

 

◆第6回

火山へ向う道の整備と、魔法鉱石の探索は順調に進んでいた。

魔法鉱石は、洞窟の探索を行っていた少年の協力もあり、両手で抱えるくらいの量を掘りだすことに成功した。

 

レイザは自分に寄り添いたいという女性に、淡々と知っていることを語った。

王国は一族を増やさず、絶やさず、反逆できないよう、コントロールしてきた。地上が滅んでいなければ、一族の子はそうしてまた狙われて、利用され続けると。

 

火山対処の手がかりを得る為に、神殿で調査が開始される。

前神殿長の一家が暮らしていた居住区では、サーナを中心とした調査が行われた。

発見された書物により、様々なことが判明する。

 

世界の魔力を安定させるには、それぞれの魔力が集まる場所で、属性の継承者と4属性の特殊な魔法鉱石から作りだした、3つの神器と1つの聖石による調整が必要だった。

しかし、3つの神器は遥か昔、風の継承者の一族によって持ち去られてしまった。

それにより、他の属性の継承者の一族は、それぞれの魔力を鎮めるために、中和作用がある継承者の身をもちいるより他なく犠牲を強いられてきた。

 

そして、初代神殿長の記録には、火の特殊な魔法鉱石から作られた聖石は、火の継承者の一族が持っていたこと。長い探索の末、王国の王家は火の一族を見つけ出し、管理下に置くことに成功した。火の地での実験により、魔力の調整を行わなかった場合、世界に危機が訪れることが実証されたということ。この巨大な力を制して、王国のものとすれば、世界は安定し、恒久的な平和が訪れるだろうと、記されていた。

火の地の実験とは、この地と火の継承者の一族を滅ぼした、100年前の火山噴火のことである。

 

聖石は今、神殿の魔法具の一部として、障壁維持に使われている。

かつては、神殿の地下にある部屋に結界を張り、結界内にいる人物の生命力を聖石でエネルギーに換えて、火山に流し込み火の力を抑えていた。

聖石に触れて、直接生命力を注げば、エネルギーに意思を乗せる事が出来る。生命力は誰でも注げるが、聖石をもちいて力を送る事が出来るのは、特殊な魔力を持つ継承者の一族だけであり、更に真の力を引き出せるのは、体に証のある継承者のみとも書物に記されていた。

 

少しの間なら、聖石を魔法具から外しても持ちこたえることができる。

聖石を利用したサポートが決定され、提供者が集められることになった。

 

 

◆第7回

洞窟内にシェルターが設けられ、そこに避難をしつつ、魔法鉱石の採掘は進められていた。

地震の頻度が増し、神殿からは障壁の負荷が高まっているとの報告があった。

予定通り火山を鎮めるために、協力者と火の特別な力を持つ能力者たちは、障壁の外にある火山に向かうこととなった。

 

神殿の地下から、火山に向かった者達にエネルギーが送られる。

知り合い、友人、愛する人に、それぞれ想いとエネルギーを聖石に注ぎ、サーナが送る。

 

同行者が火山深部に向かう者たちを送りだしたその後。大きな地震が起きて、洞窟が崩れた。

神殿からのエネルギーが届かなくなる。

 

同時に、水の障壁の負担も急激に増し、ついに聖石を魔法具に返すよう指示がでる。

待ってと拒否するサーナの前に、ベルティルデ・バイエル……いや、侍女のベルティルデと入れ替わっていた真の王国の姫、水の継承者の少女が現れる。

自分が皆の心を導く、彼らを守る力に換えて届けると。

 

護りたい大切な娘の命が自分に注がれ、消えていく感覚を受けたレイザ。

大切に想う人、生徒達を守るため覚悟を決めなければならない時が来た。自分を愛し抱き締めてくれる人と共にレイザはマグマに飛び込んだ。

「力を吸収して自分のものにしなさい。男の継承者には、吹き溜まりの魔力を制する力があるという言い伝えがある! 炎の意志のもと、あなたは生きて、世界を壊し創生するのよ!!」

アーリーの悲痛な声が響く。

 

体が弾むほどの、激しい地震が発生した。

掘り進めてきた障壁内へと続く道の途中も、崩れてしまったようだ。

流れ道を失った魔力が溜まっていく。

 

 

◆第8回

護られたい大切な人の、共に生きたかったという切なる想い、彼女を慕う守るべき生徒の自分を貶す感情を受けながらレイザは苦しんだ。

幾つもの想い、そしてマグマに残る、思念の想いが彼の中に流れてくる。

そして、人々を守るという強い意志と、自分に奮起を促す想い、力が彼に送られてきた。

レイザは今の自分のままで火の魔力を鎮めること――護られて逝くことを止め、独り男の継承者として一族の想いと力を身体に受け入れ、海の上に帰すことを選んだ。

自らの今の心と力の一部をマテオ・テーペに、仲間と認めた男達の中に残して。

 

帰還路を必死に守っていた者達のところに、深部に行った者達が戻ってくる。

力を尽くし、支え合いながら出口へと向かう。

神殿から風が送られ、シェルターに避難していた者たちが助けに来る。

深部に行った者、サポートに向かった者全てが、障壁の中へと帰還を果たした。……レイザを除き。

 

障壁内に、火の魔力が流れ込んでいた。

選ばれた少女と、少年が、魔力制御装置を用いて、全ての魔力をかけて荒ぶる力を鎮めていった。

障壁内に、降るはずのない雪が降った。

 

リルダ、そして自主的に避難救助に動いた者もおり、死傷者は僅かだった。

レイザは行方不明とされ、アーリーとミーザは大切に想う人と共に、箱船に乗ることとなった。

 

世界よりも、共に生きる人々の命を重んじた。

聖石――ひとつの希望は残され、もうひとつの希望の炎は世界に解き放たれた。

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